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翁12 飛鳥の弥勒 [翁]

弥勒菩薩.jpg
京都広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像

翁12 飛鳥の弥勒

ミトラ神は古代インド・イラン地域のアーリア人の神だった。「リグ・ヴェーダ」におけ
るアーディティヤ神群の一柱であり、魔術的なヴァルナ神と対をなす契約の神であった。
中央アジア(現在のアフガニスタン・パキスタン)で原始仏教と習合したのち、東方に伝
播し、弥勒信仰となって飛鳥時代の日本にやってきた。
伝播の過程で、中国の宗教的な伝統を吸収したので、弥勒はメディアやローマ帝国のミト
ラ神とは異なる性格を持つに至った。

・第1期 弥勒信仰の成立
 前2世紀~後2世紀にかけて、インド北部~イラン東部にかけての地域で、原始仏教は
 パルティア・バクトリアのミトラ教とイラン系民族のスイームルグ文化(インド+スキ
 タイ文化)の強い影響を受け、弥勒信仰が成立した。
 弥勒信仰には、仏教のミトラ教化とミトラ教の仏教化という2つの側面がある。
 仏教のミトラ教化:釈迦仏の後を継いで弥勒が現れる
 ミトラ教の仏教化:弥勒は釈迦仏の考えを継いで発展させる
 この両義性により、弥勒信仰は多くの信者を獲得した。

・第2期 浄土信仰の成立
 1世紀になると、仏教はミトラ教(ヘレニズム文化)の影響が薄まり、イラン(スイー
 ムルグ文化)の影響が強まり、救済の図式そのものが仏教に持ち込まれた。
 「大無量寿経」「阿弥陀経」
 3世紀には、ズルワーン経、グノーシス的キリスト教、仏教を集大成したマニ教(明教
 ・東方ミトラ教)が成立した。
 4~5世紀には、ササン朝ペルシャで東方ミトラ教の大習合運動の影響を受ける。
 「観無量寿経」「無量寿仏」「阿弥陀仏」「観音」「大勢至」

・第3期 密教の成立
 7世紀、北西インドで、浄土教よりさらにミトラ教の影響を受けた密教が成立した。東
 方ミトラ教の神々の体系とほぼ同じになると同時にタントリズムの影響も強く受けた。
 中央アジアの太陽神ミトラ(=ヘーリオス=アーディディヤ=スーリヤ)に、大阿修羅
 の復活が重なり、大日如来が成立したと思われる。
 ミトラと7大天使(ミトラ教)→八大明王(弥勒+7大明王)

・第4期 弥勒教の成立
 中国に渡来した東方ミトラ教(明教)は、唐~元末期(7~14世紀)に次第に中国化
 し、この過程で、仏教や道教と習合し、弥勒教となった。弥勒教は、大女神ソフィア(
 無極聖母)と弥勒を2大看板とし、明清時代には、イスラムを取り込んで五教(儒教・
 道教・仏教・キリスト教・イスラム教)帰一とした。

・弥勒信仰とは
 釈迦仏の教えは時と共に力を失い、人々の信仰は弥勒(ミトラ)に移ってゆく。
 弥勒は現在、兜率天(太陽天球層)にいて、そこで教えを説きつつ、この世に生まれ変
 わる(下生)の時を待っている。

・飛鳥時代の弥勒仏教
 飛鳥時代(592~710年)に渡来した仏教は、今の仏教と全く異なる、呪術性の強
 い弥勒信仰であった。
 弥勒信仰には、様々な呪術や祈祷が伴っていた。雨乞いと豊穣祈願の為に、聖牛の供儀
 を行った。神像(弥勒像)礼拝という偶像崇拝も行われるようになった。
 また一方で、スイームルグ文化の「よき統治」を教える神でもあった。
 弥勒は、聖徳太子、蘇我氏、秦氏といった当時の政権中枢にいた人々の神であった。
 聖徳太子は7つの寺を建て、その本堂に弥勒像を祀った。弥勒の教えである「よき統治」
 を実現するためである。蘇我一門と協力して「よき統治」を律令制度として実現した。
 「よき統治」の理念は儒教と結び付き、仏教は人々の幸福を増大する役目を担った。
 聖徳太子は死後、弥勒の代理人として神格化され、太子伝説が形成された。
 
 (参考文献 ミトラ教研究 東條真人著)

538年仏教伝来の仏教とは、のちの教典化された大乗仏教とは似ても似つかぬものでは
なかったろうか。弥勒信仰とは 末法の世に現れる救世主を渇望する信仰であり、救世主
という概念はキリスト教に近いし、聖牛の供儀はミトラ教に由来するものだろう。

日本書紀の記述が後に渡来する聖書を手掛かりに、救世主としての聖徳太子に、律令国家
の先駆けとしての政治家に脚色し、聖牛の供儀は後の仏教の殺生という概念に抵触するも
のとして歴史から抹殺されたのではないか。

飛鳥時代そのものを後の政権に都合よく書換えていたとしても、ある程度当時の人々が許
容できる範囲の脚色であり、また真実の痕跡もどこかに残っているはずである。
飛鳥の弥勒信仰に付きまとうキリスト教やミトラ教の影は、蘇我氏一族や聖徳太子一族の
出自に由来しているものと考える。






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