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セルリアン能楽堂 巴 「白衣の麗人」 [巴]

白衣の麗人 2008/12/12

巴の心だけを感じた舞台であった。
橋掛かり、里女に身を変えた巴がいる。彼女は自らをまだ仮の姿の中に深く封印して現の世にぼんやり佇んでいる。
巴の心はまだ見えない。淋しさだけが溢れるばかりだ。

かつての戦装束の姿の巴が現れる。共に戦うことに女としての幸福を見出した巴の人生の姿だ。
戦うことも、愛することも、現を生きる者にとっての執着であることに変わりは無い。
執着こそ、生きるということ、生きる価値はそこにある。
(小賢しく上手く立ち回った人生を長らえたところで一体何の意味があるものか。)

愛する人にそれでも生きろと言われた。なんと残酷な愛情。
一緒に死ねたらどんなに幸福だったか。無意味な残りの人生は巴にとってどんな意味があったのか。

作者は最後に鮮やかな回答を見せてくれる。
落ち延びる巴が最後に白水衣を着て正面に直ったときの眩いばかりの美しさ。
最後にすべてを脱ぎ捨てた巴の本性が現れる。

最もよく生ききった者の人生の最後に訪れる純白な光。
救いの光に包まれて巴は去っていった。

いい舞台でした。

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